TITLE SOUNDWITCH TOUR 2018「CARNIVAL」
DATE 2018.10.05[Fri]
VENUE 東京 吉祥寺CRESCENDO
TIME 開場 / 17:30
開演 / 18:00
TICKET 前売¥2,500
当日¥3,000
「CELLULOID QUEEN」Shark Odyssey

Celluloid Queen - セルロイド・クイーン。このタイトルは何を意味するのか。タブロイド・クイーンじゃダメだったんだろうか?何だかゴシップ紙になってしまう。アクロイド・クイーンはどうか?そりゃアガサ・クリスティか。

どうもテキトーな書き出しになってしまったが、それ相応の理由に基づいている。「新しいEPについてなんか書いてみてよ」と軽い感じで頼まれたもんで、じゃあってんでこちらも軽い感じで書いてみてみようというのがひとつ。そして、音源を聴かせてもらってオフィシャルのHPに上がっているジャケのアートワークを眺めながらこのテキストを書いているという、言わばこの文章をSOUNDWITCHのオフィシャルHPにアクセスして読んでくださっている「皆さま」と似たような環境で何か書いてみようというスタンスであるということを理解しておいてもらおうというのがひとつ。大丈夫、おそらく2-3分で読み流せますから。SlipknotのWait And Bleedくらいの時間。MadonnaのLike A Virginくらいの時間。
あと、もう一つ大切な理由がある。それは、このEPを聴きながらいろいろと思いを巡らせて欲しい、想像して欲しいという願い。直情的な「カッコいいじゃん!」や「これは好みの音楽だなぁ」だったり、或いは「こんな音楽には初めて触れてよくわからないけど、どう解釈したらいいんだろう?/何故こんな音楽をやっているのだろう?」というのを想像してみて欲しいのです。その想像の可能性として、タブロイド版や推理小説作家の名を闇雲に挙げてみたつもり。先に書いたように実際にはメンバーに詳しい話を聞いたワケではないので、冒頭の奇文珍文はアテにしないでください。

さて。音楽好きの仲間たちと話したり、さらに音楽誌を読んだりしているような皆さんにとっては耳馴染みであったり実感しているであろう言葉、「新しい音楽は出尽くした」。これは真実かどうかはさておき、わたしもそれなりに実感しています。
今まで自分が聴いたことのない音楽に出会っても、そのルーツは案外我々の生まれるもっと前に既に誕生してた音楽だったりするもんです。これは某動画サイトでオート生成されるリンクを辿るだけではなく、ある程度の探究心を持って臨んでわかるものですが。
まぁ辛うじて新しいと呼べるだろうと思うものは、エレクトロミュージックにおける「音色」や「ミックス」ぐらいでしょうか。しかしそれらは音楽の三大要素たる「リズム、メロディ、ハーモニー」とはまた別の次元。特に音色なんてのは色んな音を混ぜたり省いたりした結果生まれる要素。純然たる「新しい音楽」とは言えないワケで。

しかし、わたしはこのSOUNDWITCHには何かしら新しさのようなものを感じるのです。何が新しいのか?それは音楽の「調合具合」だと思っています。化学者、もっと言えば錬金術師が試薬Aと試薬B,C,D…をどんな割合で調合するか。時代性であったりお国柄であったりの音楽の調合具合。これらは「流行り」としては各地に各時代でボコボコと生まれ量産されていくのですが、その生まれた音楽の核となる部分…いわゆる「オイシイとこ」や「醍醐味」はある程度年月が経ってようやく共通認識として残るもの。その核の部分、醍醐味を正しく認識できる現代に、適切な調合具合をやってのけるバンド・SOUNDWITCHに凄みを感じるのです。やみくもに「新しさ」を探してる手探り感はなく、「普遍性」に近づこうとしているような気がしている。

このEPで言えば、1曲目のKiss Me Kill Meはヨーロッパのガバキックが鳴ったかと思えばアメリカのスラッシュメタル然とした展開(その裏でオーケストラヒットが派手に鳴っている!?)、そしてその道の王道たるアーミングを交えたギターソロがねじ込まれる。こりゃもうSOUNDWITCHは「どうぞネジを外してください」と言ってるようなもんでしょ。まったく、どーかしてる曲。

2曲目のLa La Crowは、導入は80'sニューウェイヴかと思えばテン年代のデスコアに移行するも、その裏で鳴っているのは邪教の儀式の音楽のようなオルガン…70'sのホラー映画のサントラ?ユーロプログレ?にも通じるような。うん、音のアルケミー。フィジカルに暴れるもよし、唇の片端を曲げてニヤつくもよし。

お次に控えるはButterflies。アップテンポで大きなヘッドバングができるが、どこか冷やかな感じ。わたしのイメージでは、先に挙げた映画サントラの例にしてもグッと近代に寄った感じ。ディストピア感があり、テンポからして空撮だな。凄い速さで飛んでる。(妄想は膨らむ)
このEPの中では比較的ストレートな曲調ではあるが、そこを力業や暑苦しさで聴かせないのがSOUNDWITCH。こういった曲では歌に耳を持っていかれる。歌にも当然リズム・メロディ・ハーモニーがあり、ギターソロ明けの歌でグッと持ってかれる。注意して聴いてみて。

このEPのタイトルトラックでもあるCelluloid Queenは、ニューウェイヴの中でもゴス/ポジパン寄り…ニューロマンティックというべきか。ビキビキと鳴るシーケンスに浸って伏し目のままいつまでも身体を揺らしていたいし、そこに綺羅星のようなシンセが聞こえてきた日には自分の性別(いも焼酎大好きおじさん、です)を忘れて紅を引きチークを塗ってしまいそうに…いや、ちょっとオモシロで書いてしまった。真面目な話、いい音楽はその曲を聴いている間は性別や年齢を忘れさせる魔力が篭もるものです。
そして、このEPタイトルをCelluloid Queenと冠したというのがまたいいじゃないですか。

ラストはSo Sweet So Scratch Heroes。これは3rdアルバム「Romanesque」に収録された同曲のリ・レコーディングですね。
これは是非とも聴き比べて欲しいんだけど、ドラムの手数足数が格段に増えこの曲の醍醐味を強化してる。それに伴いギタープレイもも派手になるし…あれ?シーケンスのフィルターのかけ方も変えた?ミックスを変えたから目立つようになったってこと?…ホント、音源渡されただけでウラ話的なのは何も聞いてないもんでアテにはしないで欲しいが、とにかくわたしの耳と脳にはより気持ちよく響くようになった。
いや、間違い探しをしてる場合じゃないな。この曲はよく知っているということもあり逆に言葉を選んでしまうが…いわゆる「キャッチー」なシーケンスフレーズから速いツービート、ウラ打ちでツーステップを踊るための曲。
…あぁ。やっぱりなまじ曲に馴染みがあるだけに裏目に出てるような気がする。でも、何かしらのキッカケでSOUNDWITCHの音楽を知らないままこの文章を目にした人にとっては分かりやすい説明じゃないだろうか。そしてこんなにザックリと言い放つことができるのは現メンバーと(元メンバーである)わたしくらいなんじゃないか。

想定してたよりも若干長文になってしまった。「2-3分で読み流せる」、アレはウソだ。また嘘をついてしまった。地獄、こわい。
繰り返すがこの解説と妄言はわたしの個人的な印象なだけなんで、メンバーに「んー…そんなつもりじゃないけど…」とか言われたら死ぬほど恥ずかしいよ。(音楽ライターさんって大変なんですね)

とにかくこういったいろんな国の、いろんな時代の音楽のオイシイところを絶妙に調合しているバンドってのは、わたしの知る限りでは世界のどこを見てもなかなかいない。一見ラウドなバンドのように映るだろうが、その中身は恐ろしく繊細な音楽をプレイしているのよ?

んで、大切なことを最後にひとつ。割とオタクっぽい分析で書いてきてしまったけど、最終的にそんな知識・分析なんてどーでもよろしい。
たまたまこの文章を目にしてくれた方が興味を持つキッカケになるようなテキストのつもりだったんだが、実際のところ音や映像をまず聴いたり見たりして欲しいんですよね。これ、SOUNDWITCHのオフィシャルHPに掲載されてるんでしょ?このページのどこかに音や映像にリンクしてるので、まずはいろいろ覗いてみてくださいよ。気に入ってくれたなら、このCelluloid Queenも入手してみてください。
SOUNDWITCHがあなたのフェイバリットになってくれたなら嬉しいです。わたしもこのバンドが大好きなので。

CELLULOID QUEEN - EP
https://itunes.apple.com/jp/album/celluloid-queen-ep/1422560640

Shark Odyssey (ex.SOUNDWITCH/Drummer)

Posted : 2018.09.02
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